『学園一の才女で容姿端麗、文武両道、その上、誰にも好かれる明るい性格。』
それが学園におけるヒロイン松坂 美雪に対する評価だった。
そんな完全無欠の優等生の美雪と入学早々同じクラスになれた自分は幸運だった。
そして、彼女に対するこの甘酸っぱい恋心こそ青春なのだ。 ‥‥その頃の俺はそう思っていたんだ。
変化ってやつは突然に訪れ、新生活が始った頃の春先、突然決まった親の転勤により一人暮らしをする ことになった俺は、
超多忙な日々を送ることになってしまった。 そんな日々は夏服に替わる頃にようやく落ち着きを取り戻したが、全く酷い日々だった。
だが、この多忙な日々のおかげで俺の学園生活に勢いが付き、何をやっても充実感が伴い、 総てが上手く行った。
その結果、テストの成績は一桁という順位となった。 やっと俺の「順調な学園生活」が始まったのだ‥‥そう思っていたそんな矢先の日、
俺は下校中に、 道ばたで学生手帳を拾い、誰のものかと開くとあの美雪の写真と名前。 しかも、そこに記載してあった住所は、
俺が引っ越したばかりマンションの近くで。 これは家から近いので、届けるべきだなと手帳を持って彼女の家へ向かうことを決意した。
これをきっかけに仲良くなれば‥‥そんな期待を持ってしまった俺を誰が非難出来ようか?
訪れた彼女の家は、意外にもボロ‥‥いや、古い家屋だった。イメージと合わないなと思いながらも 呼び鈴を押すと誰かが出てきた。
俺のことを誰かと勘違いしているようでぞんざいな口調のその 女の子は‥‥学園での姿とは異なるズボラな格好をしてはいるが‥‥
残念なことに美雪本人だった。 それでも、彼女が自宅だからたまたま気が抜けていただけかもしれないと思い込んだところ、
彼女の学生手帳のページが目に入った。そこには、学園の教師・学生に対する辛口のコメントと 採点が記載されていた美雪の本音メモだった。
そう、完全無欠の優等生は‥‥まがいもの…仮面優等生だったのだ。そんな事実に驚愕する俺を家に引っ張り込むと彼女は弁明を始めた。
曰く‥‥せっかく遠い学園に入学して知り合いがいないのだから、理想の自分を作り上げたかった。
そんな自分を見てくれる視線が嬉しくて頑張っていたんだと。 つまり、見栄を張って学園では優等生の仮面をかぶっていたってことか‥‥。
それはそれで大変だったかもしれないが‥‥自分が恋心を抱いていた相手が、まがいものだったと知ったショックは、思った以上に大きかった。
そんな俺に、美雪から、このことを他の人には話さないで欲しいと要求される。 そんなことを要求出来る立場なのか、
俺のこのブロークンハートをどうしてくれる!? そんな思わず口に出した言葉から、俺が好意を持っていたことを知った美雪は、一つ提案をしてくる。
――この秘密を他の人に漏らさないなら‥‥私のことを好きにしても良いよ。
この機会を利用して彼女のカラダを好きにするか? それとも、これをきっかけに彼女と仲良くなるか?
俺の中の悪魔と天使の意見が二つに分かれている‥‥さて、どちらの意見に従って彼女を俺の好きなように作り上げようか?
それは俺の選択次第なのだ。
